#1【幕開け】
時は過ぎ高二の春。
見上げるといつの間にか無数の桜の花びらたちが街のあちこちに散らばっていた。
綺麗…

手を差し伸べると一枚の桜の花びらが手元に落ちてきた。
いつの間にか笑っていた顔に未来瑠が覗いてきた。

何桜みて笑ってんの?
笑ってない。

思ってる事と全く違うことを言う癖が多い日々。
それも人生のストーリーの一欠片である事。
顔を上げあの大きな空を見上げて優しく笑った。
そして高二の幕は今開き始めたばかりだと心に強く残った。
……
校門に着いた頃、校門前が少しざわめいていた。
『何あれ…』

疑問を抱えてると隣の未来瑠が口を開いた。

うっわぁー

やっぱりいた。
?


学園中どこからの情報かは知らないけど今日清園学園からイケメンの転校生が来るって噂でバタバタしてるんだよね。
清園学園?


知らないの?

隣町にあるめちゃくちゃ大金持ちが通う学園だよ。
何その漫画によくある学園。


んで、噂で清園学園のトップスター玄道和真って人がウチらの学校に来るんだって。
何その漫画的パターン。


まぁそんな感じでウチらの学校に転校生来るんだって。
ふーん。


興味無さそー
興味湧くわけないじゃん。

そう、素人に興味湧くわけないと自分では思っていた。
会うまでは…
……
教室。

光ー

転校生どうだと思う?
またその話?


だって気になるじゃん。
全く。


えー
会話にならない未来瑠との会話。
茶番毎なんだけどね。
「キーンコーンカーンコーン」
毎日耳に鳴り響く朝自習のチャイム。
この時教室のドアがガラガラと開いた。

みんな着いたかな?
担任の桜田恵子先生だ。

じゃあ出席を取ります。
出席、見れば分かると言うのに一人一人名前を呼んで確認する面倒臭い行為。
『はぁ…退屈。』


…きさん…崎さん…

藤崎光さん。
あ、はい。


どうしたの?具合でも悪い?
いえ…


そう?じゃあ呼んだらちゃんと返事してね。
はい…


倉田君…
……
まぁこーゆー時もある時だってある。

えっーと全員いるね。

じゃあ転校生の紹介ね。
桜田先生がこの言葉を告げるとクラス中ザワザワと騒ぎ始めた。

入って来て。
教室のドアがガラガラと開いた。
もちろんクラス全員の視線が一斉にドアの方に向かった。

まさか…
未来瑠がボソッと言葉を零した。
ドアから入ってきたのはある青年。
整われた五官と白い肌、あまり筋肉が無いようなスタイルと細長い足。
まるで誰も信用しない目付きと漫画から出てきたような王子様なオーラ。
正しく二次元王子と言ってもいいだろう。

じゃあ自己紹介お願い出来るかな?
彼は大きく息を吸った。

清園学園から来ました。玄道和真です。
その声は天使に喉をキスされたような優しい声。
聞いて耳が癒されるような感覚だった。
クラスの女子全員はそんな反応だった。
男子も意外と大人しく彼の外見に見とれていたのか手も足も出ない状況だった。
そんな中私は平然としていてクラスメイト達の反応についていけてなかった。

じゃあ玄道君は空いてる席に座ってください。

はい。
コトンコトンとクラスに彼の足音が鳴り響いていた。
そして彼は私の隣の席に座っていた。
『あ、隣の席空いてたんだ。』

彼と目が会い私は閉ざしていた口を開いた。
初めまして、藤崎光です。よろしくね。

優しく笑い、いい第一印象を彼に向けた。

よろしく。
そう、これが私達の物語の幕開けだったのだ。